道尾秀介さん

恥ずかしくて本当なら言いたくない(堂々と言えない)ことですが、あたしはここ10年以上本を一冊も読んでいません。ここでいう「本」て、物語的なものです。資料とか参考書みたいなものじゃありません。
言い訳ですが、あたしが本を読まない理由というのが結構ハッキリしていて「本を読む時間がない」からです。
たぶん、普通の人はこんな「言い訳」を聞いたら「時間がないなんて、5分・10分もないのかよ」って反論したくなると思う。あります、5分、10分どころか30分とか1時間でも。でも、今はそれだけまとまった時間があったら他にやりたいことがあるっていうのと、逆に5分、10分くらいずつ本を細切れに読んでいく「技術」みたいなものがあたしにはないのです。あたし、本当に頭悪いから、じっくり時間をかけて「浸る」ように読んでいかないと本を楽しめない。で、間が空いて続きから読もうとしてもそれまでの話しってどんなだったっけ?みたいにキチンと思い出さないと次に進めない。で、思い出すために最初の方からなんとなくパラパラ読んでから続きを読む・・・みたいな感じになっちゃうのよね。でもそれだと終わりまで辿り着くまでにものすごく時間がかかって、物語の楽しさよりも疲れの方が大きくて、それを考えるとそうまでして読みたいと思うような本もないかな・・・なんて考えちゃうわけです。(「そうまでして読みたい本」って言っても読んでみなくちゃわからないことなんだけど。)


けど、この人の本は読んでみた方がいいかもって思ってる。(今のところ残念ながら読んではないですけどね。)
本人がどう思って(どう考えて)言っているのかはわからないけど、すごくいいことを言ってるんだよね。


描いてある感情すべてにすんなりと同感できるような小説に、僕は意味があるとは思えない。
僕の価値観では「一から十まですんなりと同感できた小説」というのは「読んでも意味がなかった小説」と同義だからだ。
同感のレベルで感じた喜怒哀楽なんてたかが知れている。
わざわざお金と時間をかけて活字を追い、得るほどのものじゃないと僕は思う。



映画やドラマにした方が簡単に楽しめるだろうという小説も多い。せっかく小説を書いているんだから、僕は活字でしか、小説でしかできないことをやりたい。



そうは言ってもいつかドラマとか映画になったりすることもあるんじゃないのかな。(もうなってるのがあるのかな?)
こういう気持ちで言葉を紡いでいく人の物語を読んでみたいと思う。