信じること

私の「信心」は平均的な日本人同様かそれ以下だという自覚はある。
ただ、別に先祖のことを蔑ろにしているつもりはないし、当然自分が突然「ぽっ!」と忽然と姿を現したとも思ってない。長い繋がりがあって今自分がここにいると思っている。



昨日、何の前触れもなく、「先祖を供養しよう」と私を誘う人が家にきた。この人(女性なので、「彼女」というべきか)は私が結婚した後、今の場所に住むようになって(結構最初の頃だったような気がする)「私のことわかるかなぁ、同じ学校で1、2年上(だったか下)だった●●だけど・・・」って突然訪ねてきたんだよね。


「わかるかなぁ」って、私はそもそもあまり他人に興味がないので同学年であったとしても他のクラスだったりしただけでもうわからない・・・ぐらいな人なわけですよ。それが学年が違って何の接点もない「あかのたにん」のことなんか覚えているもいないも・・・・全く知りません。で、申し訳ないけどハッキリそう言ったんだけど、そこから彼女は「今なにか悩んでいることとか困っていることとかない?そういうのは先祖が自分を供養して欲しいっていうのを訴えてるってことなんだよ?」みたいな話をしだした。なんでもちゃんとした「供養の仕方」があるとか。


私は特別恵まれた環境に生きてるわけではないけど、逆にものすごい逆境に生きてるわけでもない。だから悩み事や困ることなんかが全くないわけではないけど、たぶんそれは一般的な人と似たようなレベル(範囲)のもので、取り立てていうほどのことではないと思っている。
だから彼女にもそう言った。


「そうなの?でも先祖は待っているんだよ。また何かがあって『これがそうなのかな』と思うことがあったら一緒にやりましょう。」



まぁ、そんなことがあって、彼女はそれから忘れた頃に誘いにくるようになった。1年に何回とかいうわけでもなく、まったく「おもいついた時」という感じで。
そして、昨日もそんなタイミングで私は全く忘れていたところに突然やってきた。



「久し振りだけど、その後どう?悩んでいることとか困っていることとかない?」
「はぁ、まぁ特別には・・・そりゃ全くないわけではないですけど・・・・」
「いまこういう世の中じゃない、リストラとかさ・・・」
(内心よくそういうことを大して知りもしない人に対して言えるなぁ・・・とは思ったけど)
「はぁ・・・まぁ、今のところは差し迫ってっていうのはないですけど、でもそういうのはわからないですよね?この先どうなるかなんて、リストラじゃなくても会社が倒産したりとかって、そういうのがフツーにある時代なんで・・・」
「まぁ、そうだけどさ、今そうじゃないならよかったね・・・人間関係とかは?」
「はぁ、特にはないですけど・・・」
「そう?私なんかね、勤めて7年(だったか8年、9年だったかな?)になるんだけど、今になって色々あってさ・・・じゃぁ、まだ供養してあげたいなぁっていう気持ちにはならない?」
「はぁ・・・まぁ、今のところは・・・」
「じゃぁ、またさ、なにかそう思うことがあって供養したいと思うようになったらさ、やろうね・・・」


まぁ、だいたいこんな感じ。
あたしはね、供養するのがイヤとか言っているわけじゃないんだけど、なんとなく信用出来ないよなって思っちゃうのよね。だってさ、本当にいいものだったら、例えば全戸配布の広告にでもその供養の仕方とやらを印刷して配ったらいいんじゃないかと思っちゃうのよね。イヤ、それはお金がかかるっていうのであれば、家にくる彼女が「タダで」教えてくれたっていいと思うの。本当にいいものなのであれば。最初に来た時にそういう仕組みみたいなのを知らずに「どうやるんですか?」みたいに聞いたら(別にすごくやりたかったとかそういうわけじゃなく、単にどうやるんだろうというのを疑問に思ったから)「それはちゃんと行って(なんかそういう集まるところがあるみたい)やらないと教えられない」みたいに言われたのよね。で、個人的にそういう集まりみたいなのに参加する気は今のところないから、それならいいです・・・って。



なんかね、先祖は本当に子孫に禍をもたらして気づかせようって思うのかもしれないけど、もし自分のこととするなら、そんな禍を子孫にもたらそうって思うだろうかっていうのがすごく疑問。だってさ、先祖ってばぁちゃんのばぁちゃんのばぁちゃんの・・・って感じでしょ。自分がばぁちゃんになったら孫ってすごく可愛いと思うだろうし、そう思ったら気づいてほしいからって悪いことするかな。あたしはしたくないよ。なんとしても守ってあげたいって思うよ。で、自分の先祖もみんなそう思う人達だと思ってる。
特別なことしているわけじゃないけど、蔑ろにしているつもりは全くない。



彼女がそれを信じていて、本当にいいと思ったから私に薦めにくるんだろうけど、ハッキリ言ってあたしのことは放っておいて欲しいと思う。あたしそんなに不幸に見えるのかな。私は彼女が信じているソレを否定するつもりは全くないです。それをいいと信じているんだから信じていることをすればいいと思う。っていうか、信じるものは皆違っても、みんな信じているものに対して真面目に取り組んでいるはず。その対象が神様だったり愛だったりお金だったりそれぞれ違うってことはあると思うけど。
で、信じている人のことを否定するつもりもないし、もし考えを改めさせようとしてもそれは相当難しいことだっていうのもこの歳になればなんとなくわかる。ということは、私の信じているなにかもそうそう簡単には変えられない。だから彼女がこれから先もその「先祖の供養」とやらを薦めても、たぶんあたしはやらないんじゃないかなと思う。


できれば放っておいてください。



ちなみに彼女が一番最初に言った「同じ学校の1、2年上(か下)」って話だけど、それが本当だとしたらなんで今私が住んでいるところに訪ねてきたのかすごく不思議だと思っている。だって、あたしは小中高までは実家から通っていて、同じ学校だとしたら彼女もそのあたりの人なわけだよね。なのに、訪ねてきたのは結婚後の家。彼女も結婚してこっちの方に住んでいるのかしら。
どうやって私の存在を知ったのか・・・本当に不思議。