凹む言葉

悪意がないのはわかりますが・・・凹みます。


あたしが彫金をやっているのはここでもたまに書いてると思いますが、自分はお金持ちでもないしプロでもないので使える石って限られているのです。
例えばよく婚約指輪に使われるような0.3カラット以上のランクのいいダイヤなんてのは買えないしエメラルドやルビーみたいにメジャーで、質が良くて大きい石も買えません。逆にマイナーでも希少価値があるのも買えません。なので、そういう種類の石を買おうとするとそれほど質の良くない小粒のものになってしまうわけです。


で、市販されているのを見てもわかると思うのですが、結局小粒の石を使うとなると例えば小さいルビーの回りを小さいダイヤが取り巻いている・・・みたいなのが多いと思うのです。あと、小さいルビーを何個か集めて使うとか。
別にそれがいけないとか言いたいわけじゃありません。そういうのが好きな人だっていると思うし、小さいのをさりげなく着けたいって人もいるでしょう。自分自身も小さいのだって作ります。


けど、なんというか、そういうのってオーソドックス、定番というデザインとか個性とかっていうのとは対極にあると思うわけです。ある程度決まった「王道」みたいな。


でも、自分としてはそもそも市販されていないような「1点モノ」みたいなものを作りたいわけです。出発点が「売ってないから自分でつくる」みたいなところなので。そしてそれだと石はそこそこ大ぶりなものの方が色々と勝手な理由付けというか、カッコよく言うなら「インスピレーション」を受けやすいのです。



少し前に友達と会ったのですが、そこで友達の一人からシンプルな指輪をつくって欲しいと頼まれました。それは全然構いません、頼まれるなんてうれしいことです。で、その時に「自分は結構大きめの石を使うのが好き」みたいなことを言ったのですが、そしたら別の友達から「あなたは安くて大きな石を使うのが好きなのね」と言われたのです。その通りなんだけどなんとなく「安っぽい石を使うのが好きなんだ」みたいなニュアンスを感じ・・・正直ちょっと凹みました。



確かに今自分が目指しているところは「安い石をデザインとか使い方でより『輝かせる』」ことで、お金持ちじゃなくても買えるような、普通の人が「これを身に着けたら何かイイコトがありそう・・・」みたいに思えるモノを作ることなんです。
だから友達の言っていることは間違ってはいないんだけど・・・・なんというか・・・やっぱりちょっと凹みます。



あ、別に他意のない言葉で、アタシが勝手に過剰反応してるだけだってのはわかってますよ。
けど凹む気持ちはどうしようもない。


*作品に興味のある方は私のホームページ(龍子の引き出し)で公開してますのでご覧ください。