「方言その他」おぶたて

これは方言というよりは行事だと思うので「その他」に書きます。



今でも「お宮参り」っていうのがありますが、アレは基本的に両家の親とか、まぁ近しい間柄の人だけが集まってするものだと思います。(地域により多少の範囲の違いはあると思います。)
が、この「おぶたて」っていうのは披露する場所なので隣近所の親戚でもなんでもない人(まぁ普通に生活しているなかでよく顔を合わせたり立ち話、井戸端会議をするような間柄の人、向こう三軒両隣的な)も呼びます。
まぁ、結婚式(両家)と披露宴(付き合いのある人)みたいな違いです。(まぁ今は披露宴なんてしない人も多いと思いますが。)


で、当然ですが招待する側は例えば隣の「お宅」に今度やりますから出席お願いしますと案内するわけですが、暗黙の了解で出席者は女性です。もちろん、例えば奥さんの都合がどうしても合わないとか奥さんが亡くなっていてダンナさんと息子だけ、みたいな場合は男性が出席しますが、基本は女性です。


開催時期は特にキッチリ決まっているわけではないようですが、これもだいたいお宮参りが済んでから三か月くらいまでの間にするようです。(しかしキッチリ決まっているわけではなく、特に昔の田舎の場合だと「農繁期」との絡みもあるのであくまでも目安。)




今はもうほぼ絶えてしまった行事です。
もしやってる人がいたとしてもお宮参りと一緒にやってしまうとか、とにかく「おぶたて」のみやることはまれになってしまったようです。





で、アタシは思うのです。
今はなんでもかんでも「個人」が尊重され(過ぎてるようにアタシは思う)苗字も変えたくないとか結婚式も披露宴もしないとかっていうのが多いですよね。
それはそれで当事者が気に入っているなら良いと思いますが、そこまでしないと「自分自身」を確立出来ないもんなんでしょうか。



アタシは今までにここでも書いてるはずですが「井乃中三郎さんちの嫁」と言われることになんの抵抗もないし、そう呼ばれて自分を否定されたと思ったこともないし、むしろ便利な制度だなって思っています。
まったくアタシのことを知らん人(結婚して移り住んでいけば当然まわりは知らん人だらけ)にも「井乃中三郎のところの・・・」と言えば一発で「あぁ、三郎さんのところのお嫁さんかね」と認知してくれます。
アタシみたいなごくごく一般人にはホントに便利な制度と思っています。まぁテレビに出てるような有名人だと不利益を被るのかどうかわかりませんが。
で、この「おぶたて」も、赤ちゃんの首がすわって外に出るようになってくる時に近所の人に「あぁ、○○ちゃん」てすぐにピン!ときてもらえるじゃないですか、最初に披露しておけば。
だから本当に便利な制度だとアタシは思います。



こういうのがなかったら近所の人は「なんか赤ちゃんいるみたい」くらいな感じでこっちからソレにどう触れていいかわからないし、逆に赤ちゃん側(の家の人間)も会う人、会う人に説明というか紹介しなくちゃならない。
あ、こういう話しをすると個人情報とか「プライベートに関わらないで欲しい」みたいなのが出てくると思いますが、でも毎日顔を合わすような近所の人ですよ。完全に知らんぷりなんて出来ないじゃないですか。(してるのかな、個人情報とかプライベートとか言ってる人は。)
だからアタシ個人としてはこういう制度は便利だな、と思っています。


まぁ、もうほぼ消滅してますけど。(実家周辺では。)