許す、許される

たまたま光市母子殺人事件の元少年に死刑判決が下されたのにタイミングが合ってしまいましたが・・・
そこまでの重い事態に関してではないです。


少し前に知り合いの男性とたまたま「許せることと許せないこと」みたいなことについて話をしたのよね。
彼が言うには、彼の中の「許せる」許容範囲を一旦越えてしまったら二度と許すことはないっていうのよ。それについては男女の差はなく、とにかく一旦越えてしまったら彼としてその人を「切り捨てた」状態になってしまうから、その人がどんなに謝ろうと、どんなに心を入れ替えようと「そんなのオレには関係ない」ってわけで、二度と接点を持ちたくないんだって。

だから私は「それならさ、365日毎日『ごめんなさい』って謝っても許してくれないの?どうしたら許してくれるの?なにをしてもダメなの?」と聞いてみたら


「ダメですね。仮に毎日『ごめんなさい』なんていうメールが着たら即着拒ですね、自分の前にきたら張り倒しますね。」


という取り付く島もないお言葉。


「でもさ、例えばだけど、今はそう思って全然顔も見ないようになっても、たまたま偶然かなにかで20年後とか30年後とかにまた会っちゃったとか顔を合わせなくちゃならなくなったってことがおきたらさ、なんていうの?完全に忘れることはないにしてもひょっとしていい人になってるかもっていうか、その・・・チャンスを与えてあげるとか・・・そういうのはないの?」


と聞いてみたら・・・・


「ひょっとして井乃中さんて騙され易い人ですか?一度切り捨てちゃってるんだからダメですね。そもそも許して欲しいんだったら許されないようなことするなってことですよ。だってオレ、こんなこと言ってるけど、許容範囲はかなり広くとってるつもりですよ。それに許容範囲を越えそうだったら事前に言うし。」


だって。ふぅ〜ん・・・一度(っていう言い方はちょっと違うけど)失敗したら許してもらえないんだ・・・。


「それじゃぁ、とにかく一生許してもらえないわけ?死んだら許してくれるの?」


と聞いてみたら・・・



「死んだら許しますよ。」



って。
なんか前に聞いたんだけど、日本人てどんな極悪人も死んだら「仏」になるんだって。なんか「死んだら許す」っていうのも、まぁ普通といえば普通なのかもしれないけどすごく日本人的な発想なのかも。「死んでも許さない」っていうのもあるよね?


例えば「殺人」なんていうのは許されないことでしょ。ものすごく積極的に殺すつもりじゃなくて、でも殺したのは完全に自分で、未必の故意と言われるような場合も結果は許されないことでしょ。その時はそれでいいやと思ったけど、後になってあれは間違っていた、やってはいけなかったって思っても元には戻せない。本当に悪かったと思ってるんですって、こういう場合、どうしたら許してもらえるのかな。許すって「チャラ」にしてくれってことじゃないよ。なんていうのかな、上手く言葉では言えないんだけど。


許されないことをしたら許してもらえないのかな。
なんだか「許す」ってものすごく難しい言葉だね。